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不動産売却お役立ち情報ブログ

空地・空家のこと

2025.06.18

借地返還は更地が原則?手続き・費用・トラブル回避までまるっと解説

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こんにちは。イエステーション佐賀店 株式会社ソロンの平川 致遠(ひらかわ むねとう)です。

借地契約の満了が近づくと、「土地は更地に戻して渡さないといけないの?」というご相談を数多くいただきます。
実は、「必ず解体して返還しなければならない」ケースと、建物を残したままでも認められるケースがあり、判断を誤ると余計な費用やトラブルにつながりかねません。

本記事では、

  • 借地の種類によって異なる “更地返還” のルール

  • 建物買取請求権 など解体を避けられる制度の使い方

  • 解体~引渡しまでの 具体的な手続きとスケジュール

  • 見落としがちな 費用相場・補助金・トラブル防止策

を、専門用語をかみくだきながら詳しく解説します。

これから返還準備を始める方も、まだ迷っている方も、ぜひ最後までご覧ください。

借地権の3タイプと返還義務の違い

契約した年代や条項によって、返還時に建物を残せるかどうかが大きく変わります。まずは 「自分の契約はどのタイプか?」 を把握しましょう。

借地権の種類 適用される法律・契約時期 原則的な返還方法 建物買取請求権*
旧法借地権 1992年(平成4年)7月31日以前に締結 更地で返すのが原則。ただし地主が更新を拒んだ場合は交渉余地あり 行使可能
普通借地権 1992年8月1日以降に締結(借地借家法) 基本は更地返還。契約・更新拒絶の状況次第で柔軟な対応も 行使可能
定期借地権 1992年8月1日以降に締結/契約書に「定期」と明記 契約で“更地返還”が明示されており更新不可 行使不可

*建物買取請求権…地主の更新拒絶などで契約が終わる際、借地人が建物を買い取ってもらえる民法上の権利。旧法・普通借地権でのみ利用できます。

ポイント解説

  1. 旧法借地権

    • 契約当時の法律(旧借地法)が強く借地人を保護。

    • 地主が更新を断る場合、建物を評価して買い取らせる交渉が現実的です。

  2. 普通借地権

    • 新法(借地借家法)での一般的な形式。

    • 契約書に「建物買取に応じる」条文がなくても、法律上は請求権が認められています。

  3. 定期借地権

    • 契約時に「期間満了で必ず更地返還」と合意しているため、建物は残せません。

    • 返還費用(解体・整地など)をどう準備するかが最大の課題になります。

まずやるべきこと

  • 契約書の「締結日」と「定期/普通」の別をチェック

  • 返還期日の○年前から地主と情報共有し、解体か買取かの方向性を早期に決定

 

更地にして返す場合の具体的フロー

手順 やること ワンポイント
① 契約内容を洗い直す 借地権の種類・返還期日・原状回復条項を再確認。 「旧法・普通・定期」の別によって負担が激変します。さらに敷金や保証金の精算方法も要チェック。
② 地主へ返還意思を通知 少なくとも半年〜1年前には書面で伝え、解体の可否・立会日時をすり合わせる。 建物買取や借地権譲渡の交渉もここでスタート。丁寧なコミュニケーションが後のトラブルを抑えます。
③ 解体業者を選定し見積もり取得 木造30坪なら90〜120万円が目安。3社ほど相見積もりを取り、アスベストや地中埋設物の追加費用を事前確認。 「建設業許可」「解体工事保険」「産廃マニフェスト」など資格・管理体制を持つ業者を選びましょう。
④ 近隣挨拶と工事着手 騒音・粉塵対策の説明と工期の周知を実施。 解体中に境界杭を破損しないよう、業者と現地で境界確認を行うと安心です。
⑤ 建物滅失登記など各種届出 解体後1カ月以内に法務局へ建物滅失登記(怠ると10万円以下の過料)。 登記や産廃処理票の作成を司法書士・行政書士に委任するとスムーズ。
⑥ 引渡し・精算 地主立会いで更地状態を確認後、鍵の返却。敷金・原状回復費用を清算し領収書を受領。 敷金返還交渉は写真付きの工事完了報告書を添えるとスムーズ。

タイムラインの目安

返還1年前 ─ 契約確認・地主へ通知
返還6〜9か月前 ─ 解体業者選定・見積もり
返還3〜4か月前 ─ 近隣挨拶・工事着手
返還1か月前 ─ 建物滅失登記
返還当日 ─ 立会い・鍵返却・精算

失敗しないためのコツ

  • 書面・写真を残す
    交渉経緯や工事前後の状況をエビデンス化すると、追加請求や境界トラブルの抑止に役立ちます。

  • 補助金の有無を調べる
    佐賀県内でも空き家解体補助が出る自治体があります。市町村サイトで公募時期を確認しましょう。

  • 専門家を味方に
    登記手続きは司法書士、費用交渉は宅建士や弁護士に早めに相談すると時間とコストを圧縮できます。

 

建物買取請求権を活用するときのポイント

「解体せずに済むならベストだけど、どう動けばいいの?」――そんなときに頼れるのが建物買取請求権です。旧法借地権と普通借地権で認められており、地主が更新を拒絶した場合などに建物をそのまま買い取ってもらえる可能性があります。

4-1. 行使できるかをチェックする4つの条件

  1. 契約終了の原因が地主側
    更新拒絶・解約の申し入れが地主発ならチャンス大。

  2. 建物の所有者が借地人本人
    登記名義が自分になっているか確認しましょう。

  3. 建物が使用に耐える状態
    朽廃(ボロボロで使えない)と評価されると不可。

  4. 契約終了と同時に請求する
    期限後に請求すると失効するので要注意。

ワンポイント
賃貸借契約に「買取請求権を行使しない」旨の特約があっても、無効と判断された判例が多くあります。まずは諦めず専門家に相談を。

4-2. 交渉の流れとタイムライン例

満了1年前 ─ 地主が更新拒絶を通知
満了6~9か月前 ─ 借地人が買取請求書を内容証明で送付
満了3~4か月前 ─ 双方で価格協議(不調なら不動産鑑定士に依頼)
満了1か月前 ─ 売買契約締結・残代金/土地明渡し日決定
満了当日 ─ 決済・所有権移転登記・鍵引渡し

4-3. 評価額を決める3つのパターン

評価法 概要 向くケース
取引事例比較法 近隣の類似建物売買事例をもとに調整 戸建・小規模店舗など事例が豊富な地域
原価法 再調達価格-減価(築年・劣化)で算定 築古で事例が乏しい場合
収益還元法 想定賃料を利回りで還元 店舗・事務所など賃貸用建物

鑑定費用は20万~40万円が目安ですが、交渉が長引くより早期に公平な評価を取った方が総コストは下がることが多いです。

4-4. スムーズに進めるコツ

  • 専門家チームを組む
    不動産鑑定士+弁護士(交渉代理)+司法書士(登記)が王道。

  • 写真・図面・修繕履歴を準備
    建物の良好度を示す資料は価格アップに直結。

  • 税金・費用の試算を先に
    固定資産税清算や司法書士報酬を合計し、手取りを把握しておく。

解体費用の目安とコストダウン術

解体は「やる」と決めた瞬間からお金との勝負になります。ここでは一般的な坪単価から補助金まで、費用を抑えるリアルな方法をまとめました。

5-1. 坪単価の相場をつかむ

構造 相場(1坪あたり) 30坪モデルの概算
木造 3〜4万円 90〜120万円
鉄骨造 4〜6万円 120〜180万円
RC造 6〜8万円 180〜240万円
見積もりを取るときのチェックリスト
  • 「処分費込み」か?
    交通費・重機回送費・廃棄物処理費が別計上だと後で跳ね上がります。

  • 付帯工事の有無
    アスベスト調査や地中埋設物撤去は追加費用の代表格です。

  • 日数と人件費
    工期を短縮すれば近隣負担は減りますが、人員増で費用が高くなることも。

5-2. 佐賀県内で使える補助金例

自治体 補助率・上限 申請時期(2025年度) 備考
佐賀市 解体費の1/2・上限60万円 5/1〜6/30 危険空き家が対象 city.saga.lg.jp
小城市 解体費の1/2(予算枠内) 5/7〜6/30 危険度優先で採択 city.ogi.lg.jp
大町町 解体費の5/4まで・上限200万円 通年 2025年5月に拡充 town.omachi.lg.jp

ポイント

  • ほとんどの自治体は「事前申請必須」。契約・着工後では補助対象外です。

  • 補助率より上限額をチェック。RC造や敷地の広い物件は上限に達しやすいので注意しましょう。

  • 受付期間は毎年変動します。来年度以降も利用したい方は早めに役所サイトをブックマークしておくと安心です。

5-3. 費用を抑える3つのテクニック

  1. リユース・スクラップ売却を活用

    • 鉄骨・アルミサッシ・銅配線は資源相場が高騰中。解体業者に「スクラップ売却益を見積もりに反映できますか?」と一言添えるだけで数万円変わることも。

  2. 「伐採・外構撤去は DIY」で分離発注

    • 庭木伐採や物置解体など軽作業を自分で済ませれば、業者は重機作業に集中できるため人件費をカットできます。

  3. 3社以上で“同条件”見積もり

    • 見積書の書式がバラバラだと比較できません。

    • 依頼時に 「建物坪数・構造・付帯工事有無・処分費込み」 の4項目を統一して提示しましょう。価格差がはっきり出るだけでなく、値下げ交渉の根拠になります。

5-4. 追加費用が発生しがちなケース

追加項目 おおよその追加額 早期対策
アスベスト除去 5〜20万円/部位 調査費(3〜5万円)を先に払って“有無”を確定
地中埋設物撤去 10〜50万円超 地盤レーダー調査(約5万円)で可能性を把握
産廃処理の遠距離運搬 距離×1,000〜2,000円/㎥ 地元業者を選択、混載便にする

まとめ

  • 坪単価は構造で“倍”近く変わるため、まず自宅の図面と構造を確認。

  • 補助金は事前申請・上限額・年度予算の3点を押さえれば取りこぼしゼロ。

  • スクラップ売却や DIY 分離発注など、小技を積み上げれば10〜30%のコスト削減も十分可能です。

解体か、買取請求か、借地権ごと売却か――迷ったら専門家に早めに聞いてみるのが最短ルート。
株式会社ソロンなら、解体費用の見積もり比較から補助金申請サポートまでワンストップでご相談いただけます。お気軽にお問い合わせください。

更地返還で起こりやすいトラブルと予防策

借地返還の現場では、「予定外の追加費用」「地主との認識ギャップ」「近隣クレーム」 が三大リスクと言われます。代表例と対処法をまとめました。


6-1. 原状回復の範囲を巡る争い

  • 地中埋設物・基礎杭の撤去
    契約に「地中物も含めて更地渡し」と書かれていると、コンクリ片や杭まで借地人負担になるケースがあります。

  • 境界標の破損・紛失
    解体工事で境界石を動かしてしまい、測量や復旧費を請求される例も。

予防策

  1. 着工前に 地主立会いで写真と境界確認書 を作成。

  2. 地中レーダー調査(約5万円)で埋設物の有無を把握し、見積もりに「想定外埋設物は協議のうえ負担」と明記。


6-2. 工期遅延と追加請求

  • 台風やアスベスト発見で工事が長期化 → 「返還期日を過ぎたので地代を払え」と言われるパターン。

  • 解体費を低く見せて契約し、途中で「産廃処分費が倍になった」と追徴する悪質業者も。

予防策

  • 工期に バッファ(2〜3週間) を取り、契約書に「天候等やむを得ない延長は○日以内」と明文化。

  • 追加費は 事前承認制 とし、金額上限を記載した覚書を交わす。


6-3. 敷金・保証金の精算トラブル

  • 敷金から解体費を差し引く計算で揉め、返還が大幅に遅れる事案が多数。

予防策

  1. 解体後に 写真付き完了報告書 を提出し、費用負担の根拠を可視化。

  2. 精算期限を「立会日から○日以内」とする合意書をあらかじめ用意。


6-4. 近隣クレーム(騒音・粉塵・振動)

  • 騒音規制法の時間外作業や粉塵飛散で損害賠償を請求されることも。

予防策

  • 工事1週間前までに 近隣あいさつ状+連絡先カード を配布。

  • 防音シート・散水を徹底し、日曜祝日の作業を避ける。


ポイントまとめ

  • 契約書と現場の“ズレ”を無くすため、写真・書面・第三者立会いの3点セットが鉄則。

  • 想定外コストは「見つかったら即協議」条項でリスクを分散。

  • 交渉が難航しそうなら、早めに弁護士や宅建士へバトンタッチすると長期化を防げます。

まとめ

借地を返還するときの最大のカギは、**「契約種類の早期把握」と「地主との情報共有」**です。

  1. 契約書を読み解く

    • 旧法・普通なら建物買取請求権の余地、定期なら更地返還が原則。

    • 締結日と条項を確認し、必要に応じて専門家へ相談。

  2. 方針決定は1年前が目安

    • 更地返還なら解体業者選び・補助金申請でコストと時間を圧縮。

    • 買取請求権を行使する場合は、地主との価格協議をスムーズに進めるため鑑定評価を先行手配。

  3. トラブルは“証拠とルール”で防ぐ

    • 写真・議事録・覚書を残し、追加費用や工期遅延の責任分担を明文化。

    • 境界確認・近隣挨拶・法定手続き(滅失登記など)を怠らない。

借地返還は「解体か買取か」で必要な手続きも費用も大きく変わります。迷った時は、土地と建物、そして法律のプロに任せるのが最短・最安の近道です。


おわりに

借地の返還準備は、「知らなかった」だけで数十万円単位の損をしてしまう場面が少なくありません。
イエステーション佐賀店 株式会社ソロン では、

  • 契約内容の診断

  • 解体費用と補助金の試算

  • 建物買取請求や借地権売却のサポート

をワンストップでお手伝いしています。お困りの際は ぜひ株式会社ソロンをご利用ください。

あなたの大切な不動産、納得のいく形で次のステップへつなげるお手伝いをいたします。

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この記事を書いた人

佐賀店 不動産売買部 営業本部長平川 致遠

私は不動産を売りたいお客様(売主様)のお手伝いをさせていただいていますが、不動産売却は売主様と私たち不動産会社の二人三脚だと思っています。
他の不動産会社様がサジを投げた不動産でも、想いを一つに、最後までやりきる。
問題解決できたときの”売主様からの感謝の言葉”はとてもうれしいものです。

平川 致遠の紹介ページはこちら

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