こんにちは。佐賀市・久留米市の不動産売却をサポートするソロンの平川です。
マンションや中古住宅の売却がうまくいかない場合の対策として効果的なのが、販売価格の値下げです。
値下げを行うことでスムーズな契約が可能になる場合もあります。
とはいえ、どういったタイミングで値下げに踏み切ってよいか、迷ってしまいますよね。
今回は、不動産売却の値下げのタイミングについて解説。
値下げを行う際のコツや注意点などについても紹介しますので、不動産売却をお考えの方はぜひ参考にしてください。
不動産売却で値下げを行うタイミング
不動産の値下げで最大限の効果を得るためには、適切なタイミングを選んで値下げを行うことが重要です。
値下げを考える際には、値下げのタイミングに大きく影響する売却期間・市場動向に注意して正しい判断を行えるように心がけましょう。
ここでは、一般的な値下げのタイミングや値下げを判断する基準について解説します。
一般的に値下げを考え始めるタイミング
一般的に値下げを考え始めるタイミングとして参考にすべきポイントは、次の5つです。
- 売却開始から3カ月が経ったとき
- 値引き交渉があったとき
- 売却期限が迫っているとき
- 市場状況が変動し不動産の需要が上がったとき
- 問い合わせ件数が少ないとき
それぞれのポイントについて、くわしく見ていきましょう。
売却開始から3カ月が経ったとき
不動産業界では、値下げを考えるべきタイミングとして、売却開始から3カ月が経ったタイミングが推奨されています。
理由として、一般的な売買契約成立までにかかる期間が3カ月~6カ月であること、そして多くの不動産会社との専任媒介契約では契約期間を3カ月に定めていることが挙げられます。
不動産売買契約が成立するまでの期間は、多くの物件では売り出してから3カ月、長い場合でも6カ月が過ぎるタイミングといわれています。
そのため、まずは最初の段階として3カ月が過ぎたタイミングで値下げを検討します。
売り出してから3カ月が過ぎて現状の価格で物件が売れそうな見込みがある場合には、6カ月のタイミングまで様子を見る方法が良いでしょう。
ただし、3カ月は1つの目安であり、例えば郊外の競合が少ない物件であれば6カ月を過ぎたタイミングでも当初の売出価格で買い手が見つかるケースも考えられます。
重要なのは物件を取り巻く環境や市場の動きに合わせた柔軟な対応であることを念頭に、適切な判断を心がけましょう。
値引き交渉があったとき
売出価格に対し買い手から値引き交渉があった場合、買い手が感じる物件の価値と売出価格が釣り合っていない可能性が考えられます。
値引き交渉を行うことで買い手・売り手両者のニーズが合致し、取引をスムーズに進められるケースもあるため、値引き交渉の申し出があった場合には1つのタイミングとして値下げを検討しましょう。
売却期限が迫っているとき
転勤や引っ越しによって住み替えを検討している場合、「〇月までに家を売り、住み替えのための資金を得たい」といった売却期限を設定しているケースも多いでしょう。
このようなケースでは、速やかに売却期限に応じた不動産売却を進める必要があります。
売却期限が事前に設定されている場合には、多少利益が減ってしまっても期限内に契約を結ぶことが大切です。
そのため、売却期限が迫っている場合には先述した3カ月の目安にこだわらず、柔軟に値下げ対応をしていく必要があります。
不動産の需要が上がったときには値下げを見送る
不動産の値下げを行う際には、市場の動向から不動産の需要を読み取り、不動産需要が高いタイミングを狙って値下げを行うことが重要です。
なぜなら、不動産需要が高く競合が多くいる状況で値下げを行うことにより、低価格に魅力を感じた買い手からスムーズに契約を勝ち取ることが可能だからです。
とくに現在の日本では、不良債権を抱えた銀行救済のために打ち出された低金利政策や、2012年ごろ実施されたアベノミクス政策の効果もあり、住宅ローンが組みやすく不動産売買の需要が高まっています。
また一方では「生産緑地法」成立から30年が経過したことにより、相続税などの税金の軽減措置が解除され不要になった不動産が一斉に売り出される恐れがある「2022年問題」による影響も懸念されています。
2022年問題では、生産緑地法の適用期間が終了することにより大量の不動産が売りに出され、同時に不動産価格も下落するのではと問題視されています。
不動産売買を行う際にはこうした細かな市場状況を察知し、状況に応じた対応を選んでいく必要があります。
問い合わせ件数が少ないとき
「不動産を売りに出してからしばらく経つのに問い合わせが全くない・・・・・・」といった悩みがある場合には、売出価格が適正価格ではない可能性が高いと考えられます。
実際に不動産売買契約が成立する価格である「実勢価格」は通常、国土交通省による「公示価格」の1.1~1.2倍であるとされています。
ですが、不動産会社から提案された当初の売出価格と、買い手が適正だと感じる価格が釣り合わないこともあります。
不動産を売却してしばらくしても問い合わせ件数が少ない場合には、価格を見直すタイミングと捉え、値下げを検討してみましょう。
値下げをする前にチェックするべきポイント
不動産売買がスムーズに進まない場合に効果を発揮するのが値下げですが、売出価格以外にも不動産の買い手が見つからない原因があるケースもあります。
ここからは、値下げを検討する前にチェックすべき3つのポイントについて解説します。
周辺相場に応じた価格設定を行えているか
不動産の売出価格を設定する際に重要なのが、不動産の周辺エリアにおける相場価格です。
たとえ不動産の価値に対して妥当な価格設定が行われていても、地域の相場感に見合わないと、買い手は安い価格の物件へと流れていってしまいます。
買い手が決まらないからとやみくもに値下げを行うのではなく、競合の相場価格を把握した上で価格設定を再度見直しましょう。
また、周辺相場を把握する際にはポータルサイトや一括査定サイトを活用し複数社からの情報を効率よく集めましょう。
価格以外に売れない理由がないか
値下げへ踏み切る前に確認すべきなのが、売出価格以外に買い手が見つからない要因がないかについてです。
例えば、売却物件が不動産需要の低い立地だった場合には、たとえ値下げを行ったとしても、買い手が見つからない事態に見舞われる恐れがあります。
値下げをする前に、不動産が売れない理由がどこにあるのかを正確に把握した上で適切な対応策を検討しましょう。
家が売れない原因については「家が売れない原因とは?対処法やNG行動を確認」でも詳しく解説をしていますので、ぜひあわせてご覧ください。
不動産会社・契約方法が適切か
価格設定が適切で物件の状態が良い場合でも、不動産会社による販売活動や広告活動が十分でない場合には問い合わせ件数が伸びず、契約まで進むのに多大な時間を要します。
不動産の売却を不動産会社に依頼する場合には、どのような販売活動が実施されているかしっかり確認を行いましょう。
具体的には、レインズ(不動産流通標準情報システム)に掲載されている内容が詳細かどうか、ポータルサイトを活用しているか、新聞やチラシなどの広告媒体での販売活動が十分に行われているかどうかを確認しましょう。
不動産売却での値下げのコツ
不動産が売れない場合には、値下げの検討が必要です。
しかし、ただ交渉された額に応えるかたちで値下げをしていては、結果的に自分が損をしてしまう可能性すらあります。
値下げを行う際には、状況に応じた対応策を講じることが大切です。
値下げを行う際のコツとして次の4つのポイントをご紹介します。
- 値下げの限度額を決める
- 値下げ交渉に対し柔軟に対応する(無理な要求には応じない)
- 端数の魅せ方を工夫する
- 適切な値下げ幅で値下げを行う
それぞれのポイントについて、くわしく見ていきましょう。
値下げの限度額を決める
値下げの限度額をあらかじめ決めておくことで、売却による一定の利益を確実に得られます。
値下げ交渉で提示された金額を限度額を決めず言われた金額のまま値下げを行うと、売却当初得られると思っていた利益を得られない、もしくは最悪の場合損をしてしまう恐れがあります。
値下げを行う際には「不動産会社に支払う仲介手数料」「新たな物件を購入するための資金」「今後の生活に必要な老後資金」などを踏まえ、値下げの限度額を設定しましょう。
値下げ交渉に対し柔軟に対応する(無理な要求には応じない)
前述したように値下げの限度額を設定したうえで、買い手の要望に柔軟に応えていくこともスムーズな不動産売買にとって欠かせないポイントです。
例えば「水回りの老朽化が気になるのでその分値下げをしてほしい」と提案された場合には、水回りの補修にかかると想定される額を値引きするとスムーズに売却でき、余計な値下げをせずにすみます。
可能な限り買い手の要望を聞き出し、その要望に対して柔軟かつ真摯に応えていく姿勢が大切です。
ただし、売り手側が想定していた値下げ額をはるかに超える高額な値下げを要求された場合や無理な要求を提示された場合には、無理に受け入れずはっきりと断りましょう。
端数の魅せ方を工夫する
値下げをする際には金額の端数を工夫すると、心理的にお得感を与えることが可能です。
「イチキュッパ効果」とも呼ばれる端数による心理学的効果は、例えば10,000円で売りたいものを9,800円で売ることで、値下げ価格自体は高額ではないものの消費者に対し「安さ」をより効果的に示す方法としてマーケティング業界で多用されています。
値下げ交渉の場合でいえば、値下げした価格を3,000万円として売り出すよりも2,980万円として売り出すほうが買い手に選んでもらいやすくなります。
また、端数を工夫することで買い手が無料ポータルサイトなど物件検索サイトを利用する場合に「○○万円以下」の検索条件に引っかかりやすくなります。
例えば2,980万円の物件は約3,000万円に相当する価格設定ですが、ポータルサイトでは2,000万円以下の検索結果として表示され、3,000万円相当の物件には興味がない買い手にも情報が届くという仕組みです。
適切な値下げ幅で値下げを行う
一般的に、不動産の値下げを行う際の適正な値下げ幅は、売出価格の5%程度だと言われています。
例えば売出価格3,000万円の物件の場合、2,850万円が値下げ後の価格となります。
5%はあくまで目安ですが、5万円~10万円の少額の値下げでは買い手にインパクトを与えるような効果的な値下げとはいえません。
反対に、一度に高額な値下げを行ってしまうと買い手は「この物件は大幅な値下げを行わなければならないほど重大な欠陥を抱えているのか」と不安を覚えます。
値下げを行う際には売出価格の5%を目安に適切な値下げ幅で値下げを行いましょう。
不動産の売却時に値下げを行う際の注意点
不動産の値下げを行う際には次のような注意点もあります。
- 繁忙期の値下げは避ける
- 値下げを繰り返さない
- ローン残高を確認する
- 買付証書を出してもらう
それぞれの注意点について、くわしく見ていきましょう。
繁忙期の値下げは避ける
不動産の値下げは、不動産売買の繁忙期を避けて行うことが重要です。
不動産売買の繁忙期は、新学期を控えて新たな環境を求める人が多い1月~3月の時期です。
繁忙期には多少値が張っても良い物件を選びたい人が多くいるため、値下げをする必要なく当初の売出価格で売れやすい傾向にあります。
そのため、繁忙期に値下げを行なってしまうと本来得られるはずの利益が得られず、気づかぬうちに損をしてしまう恐れがあります。
繁忙期に売りに出しているにも関わらず不動産が売れない場合には価格以外の別の要因が考えられるため、むやみな値下げは避けましょう。
値下げを繰り返さない
利益を気にするあまり少額の値下げを何度も繰り返し行って様子見を行うことは、かえって買い手が寄り付かなくなる原因に繋がります。
何度も値下げを繰り返していることが買い手に伝われば、売り手に対する信頼性を損なう恐れがあります。
また、先述したように少額の値下げでは買い手に対して印象的な価格設定をアピールすることが難しいため、値下げはまとめて1度に行うことが望ましいです。
ローン残高を確認する
住宅ローンを利用して購入した不動産を売却する場合には、値下げを行ってもローンを完済できるか確実に把握しておく必要があります。
これは、住宅ローン返済中の物件を売却する際にはローンを完済しない限り売却できない場合もあるためです。
値下げを行う際にはローン残高をしっかり確認したうえで、どこまでの値下げであればローン完済が可能かを明確にしておきましょう。
買付証書を出してもらう
買付証書とは、売買契約前に物件を購入する意思を示すための書類のことです。
法的拘束力はありませんが、口約束よりも強い本気度を示すことができます。
冷やかしによる値下げ交渉を防ぐため「○○円値下げしてくれたら購入します」と、書面に残してもらうということです。
口約束での「言った言わない」のトラブルを防げるほか、買い手も売り手も冷静に状況を把握し取引を進められます。
「せっかく値下げをしたのに買ってもらえなかった」というトラブルを防ぐには、購入希望者に買付証書を書いてもらうのは有効です。
不動産売却時に値下げを防ぐ・値下げをしないで売る方法もある?
不動産売却時に値下げを行う際の注意点について解説しましたが、利益を下げないために値下げを避けたいと感じる人も多いのではないでしょうか。
値下げを行うことが不安な方は、次の2つのポイントに気をつけることで値下げを防いだり、値下げをせずに売買契約を成立させたりすることが可能です。
- 売り出し直後の交渉は断る
- 値下げをしても売れない場合には不動産買取を検討する
値下げを防ぐための方法について、それぞれくわしく見ていきましょう。
売り出し直後の交渉は断る
値下げを避ける方法として、売り出し直後の交渉は断ることをおすすめします。
なぜなら、売り出し直後の値下げ交渉は「このくらいの値段で買えたらラッキー」というような売り手の出方をうかがうための申し出である場合がほとんどだからです。
売り出し直後の交渉に気軽に応じてしまうと、本来得られるはずだった利益を逃すことにも繋がります。
「1カ月で売りたい」といった極端なスケジュールでない限り、売り出し直後は売出価格での契約を前提に買い手を募り、条件が合致する相手を見つけるように心がけましょう。
値下げをしても売れない場合には不動産買取を検討する
値下げをしても売れない場合、または値下げを避けて売却を成立させたい場合には、不動産買取を利用する方法もあります。
不動産買取とは、不動産会社を買い手として不動産を売却する方法です。
不動産会社と条件が合致すればそのまま契約を進められ、広告活動や販売活動を行う必要がなくスムーズに売却手続きを進められます。
また、不動産買取の場合には仲介手数料が必要ないため、低コストで不動産を売却できます。
不動産買取のメリットは、条件が合えばすぐに契約へ進むため、契約を完了し資産を現金化できるまでの期間が短いことです。
内覧や広告活動の手間も省けるため、売却までにかかる時間や手間を大幅に削減できます。
一方デメリットとして、不動産買取では通常の不動産売却と比較して売却価格が約7割程度に減ってしまう点が挙げられます。
安価での売却になってしまう原因として、不動産は買い取った物件をリフォームして売り出すためリフォーム費用が差し引かれていることや、仲介手数料を徴収できず不動産会社側の利益が少ないこと、不動産を再び販売する際にかかる人件費や広告費が差し引かれていることなどが考えられます。
不動産買取を利用する際には、メリット・デメリットの双方を理解したうえで、状況に応じて適切なかたちで利用するようにしましょう。
【まとめ】不動産売却の値下げはタイミングが重要
不動産の値下げを検討するタイミングの目安は、売り出し開始から3カ月または6カ月が経過したタイミングです。
また、売却期限が迫っている場合や、値下げ交渉をされたときも、値下げを行うタイミングといえます。
値下げを行う際には、現在の売出価格が周辺相場に見合う価格設定になっているか、価格設定以外に売れない理由がないか、などのポイントに注意。
値下げを行う際には高値取引が期待される1月~3月の時期を避け、1度にまとまった額を値下げすることが大切です。
値下げを行ってもなお契約が決まらない場合は、不動産買取という方法も検討しましょう。
売却価格は7割程度になってしまいますが、何度も値下げを検討するといった手間はありません。
不動産売却の値下げは適切なタイミングを選び、状況や条件に応じた対応を心がけましょう。
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